Restaurant SAI 燊 – 富士河口湖町/フレンチ・イノベーティブ

山梨県

フレンチから奥山梨コンセプトへ

不定期に富士吉田市内へ仕事で訪問する機会がありいつも往復して帰るだけの地だった事もあり色々探していた際に発見し当日たまたま空席があったため訪問。

店内、檜のフローリング造りとなるため靴を脱いで入店するスタイル。相席テーブルと個室席からなる。同県忍野村にあるnôtoriのように宿泊施設を併設しているわけではないが、飲み過ぎて酔っぱらった方向けに仮眠スペースの用意もあるようで「知り合いのお家に遊びに行く」感覚で迎入れられる非常に落ち着いた空間。

↑この日はたまたま筆者1名のみ訪問だった
という事もあるかもしれないが入店時、退店時
にふと見返したくなる広々とした空間がとても
綺麗で思わず写真に収めたくなる。

25年7月現在、料理はおまかせコース1本。氵酉(アルコール)、氵山(ノンアルコール)、両方を合わせたMIXのペアリングの3種(どれも¥10,000)と非常に明瞭。

料理は富士山麓エロア限定での山梨県産食材…を超えたマイクロ地産地消食材。シェフ豊島氏自ら山に入り狩猟を行いその日獲れた食材や天候気候によりベストな食材を使用してコース料理が組み立てられる。故に当日までメニュー不明な完全レシピレス運営となる。

筆者には記憶に残る味わいの皿が多く食好きであれば一度は訪問してもらいたい一軒。

訪問時の交通機関に少々難有で河口湖駅から富士急バスの最終便で最寄りのバス停に向かうとほぼオープンの30分前には到着できる。富山のレヴォを訪問する事を考えればまだ楽チンではあるが、帰路はタクシー移動必須。都内まで当日中に戻る事は厳しく河口湖周辺で宿泊施設を予約して訪問する事をおすすめする。また複数人で訪問するのであれば河口湖駅から往復タクシー利用による訪問がおすすめである。

料理内容(参考)

 ある日のコース料理とMIXペアリング

湧水

↑近所の湧水。清めにグイッと一杯。
夏場の訪問ではあるものの、この日の西湖
周辺は霧がかった若干冷え込んだ気候。
水は9℃前後との事で優しい冷んやり感。

ノンアルコールスパークリング

↑口にして感じるのはハーブ?ジャスミン?
正解はコブシの花とプリムローズの花との事
だが、コブシ+プリムローズでジャスミンの
香りになるようでそこを狙った一杯との事。

いただきます

↑樹海をイメージしたマットの上に樹海で
獲れた鹿肉を赤ワインで煮込んだ馬鈴薯と
マスタードを合わせて香草パン粉で仕上げた
一品。蛤、ホンビノス、しじみ3つの貝の
旨味を引き出して仕上げた半液体状の茶碗蒸し
と上にはモロヘイヤ。
最初の一品から旨味の引き出し方にストイック
さを感じた後半への期待が高まる一皿。

富士の恵

↑河口湖エリアで生産されている富士恵玉蜀黍
と湧水、塩にわずかな量のクリームを加えた
冷製スープとコーンのアイス。
冷えて鈍くなった甘味コーンアイスにグッと
甘味引きでたコーンの温度差による甘味の
感覚の違いが知れる変態系の一皿。

山梨GIN

↑抹茶と無花果の葉をベースに少量のジンを
加えた一杯。
この味わいはヤングコーンの皮の旨味を
引き立てるためにあるような一杯。

ヤングコーン

↑塩代わりにウリボーのバラ肉に塩当てて
パンチェッタにした3年熟成肉を中に巻いた
一品。玉蜀黍の甘味旨味、猪肉の塩味旨味を
まとめてガブっと味わえる一品。

源流

↑源流で育ったオオイワナの神経締め。
皮パリ中心は若干のレア感残る食感。白菜の
旨味にホエーの甘味をのせ蒸し焼きペースト
にしたソースに枝豆、イワナの卵、トマト
チップをのせた一皿。
全く煮詰めずバターで軽く炒めた白菜の旨味が
ガツン出てくるソースはまるで焼津のサスエ
フレンチ店を思い出すような旨味味わい。

文化

↑山梨特産物となっているほうとうやうどんを
オマージュした手打6日熟成のうどん。
完熟トマト1個煮詰めてフレッシュトマトを
ベースに加えさらに瓶熟させたトマトソースを
加えた変態旨味ソースと山梨ミッション
オリーブオイルを加えた一皿。
出来上がりはもはやコシのある見た目鮮やかな
ポモドーロ。

英君 ぬる燗納涼

↑英君はオオイワナ、ぬる燗はうどんに
合わせた一杯。

トマト

↑うどんの後に提供された一杯。当ててみて
との事でグイッと一気飲み。普段から食塩
無添加のトマトジュースを飲んでいるからなの
か口にしてフツーにトマトと判断出来たが、
色がトマト色でないためか分からない方もいる
とかいないとか…。

山梨 ロゼ

↑ここでよ〜やくワイン登場。筆者には桃の
香りオンリーと感じたが、ギギの天ぷらに梅
の香りを合わせイメージした一杯との事。

西湖

↑罠をかけて獲ったギギを神経締めして中に
紫蘇、ハーブを巻いて天ぷらに。ソースは
シャルドネと甲州を煮詰めてクリームを入れて
仕上げた白ワインソース。源流で提供された
ソース同様、クラシックフレンチで記憶に残る
レベルのソース味わいにやっぱり驚きがある。

塩山駒園ヴィンヤード Tao 2022 白

↑筆者のような対して飲めない下戸にはもはや
タルの香りオンリーな一杯。この熟成感と
ソースとの相性が半端ない。

↑西湖ヒメマス。3枚おろしにしてお腹と
尻尾の部分を切ってムース状にして
マッシュルームを合わせたクリームと合わせて
間に挟んでミルフィーユ状にした一品。
さらに旨味を逃がさないようにほうれん草と
パイで巻いて高温、余熱で焼いた一品。
ソースは伝統的なソースアルベール。
山梨シャルドネ品種のものとヒメマスの頭と
骨をカリカリに焼いた物を一緒に炊き上げて
クリームと少量バターで。
食いしん坊ならソースは皿ごと舐めたくなる
旨味味わい。

パン

↑チャバタをイメージした自家製パン。
美味いモチモチクロワッサンの生地を食べて
いる時のような印象を持つ食感のパン。

薬膳

↑ベースは天然鼈。甲羅の部分を日本酒、
生姜、ネギだけで低温で炊いてそこに
猪、鹿、熊の肉を使ったコンソメスープを
合わせてベースを作りジャンボなめこ、
キクラゲ、椎茸を入れながら生姜、ネギで
炊いた一品。仕上げに旨味として2年熟成
ヒメマスのナンプラーを数滴。
ベースの鼈旨味と茸の旨味が共に引き出されて
いて美味い。

山草茶 伊勢神路ウイスキー

↑ウイスキーの影響だろうか、非常に甘味を
感じた一杯。嗅覚、知覚、味覚どこが反応
しているのかもはや不明。

14日前

↑地元の鹿。2週間冷凍せずにゆっくりと
ペーパーを毎日変え余分な水分を抜いて熟成
をかけた鹿。よりシンプルに仕上げるために
炭だけでコロコロ転がしながら火入れ。
ピーマンのペーストに地元のあけぼの大豆を
使用したフムスと茄子揚げて叩いた物に乳茸。
ソースは赤ワイン。食す部位は異なるが、
広島のNAKADOで頂いた安芸高田鹿肉の
タンに近い食感感動のある鹿肉。
NAKADOで頂く鹿肉よりさらに早くシェフ
自身で首打ちして15分以内に処理している
との事。やはり生物は鮮度が命。

和紅茶

↑デザートに向けて最後の一杯。和紅茶に
スパイス、カカオ、ジンジャー等を調合し
フレッシュハーブを燃して香りをつけた一杯。

翡翠

↑和食店で時々目にする翡翠梅。ウイスキーの
白州と山椒の実を加えて漬けた梅と漬け汁に
赤紫蘇を加えて作ったグラニテ。
大人なデザート感とお口直し的なさっぱり感。

山菜

↑牛乳に蕗のとうの香りを付けてアイスにして
蕗味噌と調合した変態系のレストランで出会う
うっすらと溶けかかったアイスにシナモンで
炊いた小豆と蕗のとうの葉の乾燥パウダー。
まさに京和菓子「和」の味わいを感じる一皿。

焼きたてフィナンシェ

↑蕗のとうの葉のパウダーを入れた
フィナンシェ。バターの香りがマジたまらん。

↑抹茶特有の旨味以上に程よい蓬の香りを
感じた一杯で一通り。
ご馳走様でした。🙏

お店の場所・予約方法

富士急行線 河口湖駅からタクシーで20分程度
河口湖駅前から富士急西湖周遊バス 西湖東口バス停から徒歩5分程度

予約方法:ネット予約

ネット予約:Table Check

駐車場:有

予算(参考)

滞在時間:およそ2時間半程度
注文した料理 ディナーコース、MIXペアリング
会計:33,000円(2025.07現在)

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