椀物から京都の美味しい料理店
を思い起こさせる日本料理店
カウンター8席と今年4月から新たに個室席1室6席を設けた一軒家を改築した日本料理店。鎌倉駅からタクシーで5分、徒歩で15分程の場所になる。
極力、地元三浦の食材を中心に料理が提供される。この日、筆者が一番感動したのは椀物の出汁。
店主に確認したところ最初は京都の弱酸性の水を持ってきて作る事も考えたようだが、そうなると京都の味には絶対に勝てない事から水のpH値(マグネシウム、カルシウム)に注目し行き着いた先は九州のアルカリ性の水を使用して出汁をとるに至ったとの事。
京都「木山」で頂く椀物のような感動があったのはやはり水だったという事を改めて思い知らされた一品である。
再訪してみたいとは思うものの、カウンター席は年内は満席。一部の日程で個室席に空席有との事なので最近流行りの食好きの客同士で連む美食会でも企画すれば訪問する事も可能。興味あればそういった会に参加して楽しむのも良いのではないだろうか。
(2024.09追記)
24年6月に発生した火災により年内中は一部料理の提供が難しいとの事でコース後半は北じまでは滅多に見られない握りが提供された仮営業時のコースも実に美味しい。
料理内容(参考)
ある日のコース料理
先付
(トコブシ サザエ 胡瓜)
↑程よい食感のトコブシとサザエ、干した
胡瓜に酢で和えたジュレ。サッパリとして
いて美味しい。
土鍋ごはん
(貝柱 そら豆 芹)
↑貝柱の旨味がごはんに染みていて美味しい。
そら豆と芹の素揚げで味の変化を楽しむ一品。
お造り
(コチ 2日間活け越し)
↑雑味ない非常にクリアな味わい。
お造り
(三浦のクロムツ 炭炙り)
↑旨味じゅわ〜、こちらも雑味ない味わい。
素晴らしく独特な脂の旨味を放つ一品。
椀物
(鯛の酒蒸し 蓬豆富 柚子の花)
↑おっ、この出汁。東京近郊の水で出せない
味わい。思わず店主に聞き込みしたくなる。
京都の味わいを関東でいただけるとは!
揚げ物
(アオリイカと山菜の天ぷら 銀杏 ばちこ)
↑程よく散りばめられたばちこが良い旨味。
冷酒
↑それほど飲めないアンド酒に興味ない男
なのでメニューにあると日本料理店でほぼ
自動選択される銘柄。筆者はあくまで
「食べる事」が好きなだけ。
(蘇 奈良漬 マンボウの腸 蛸 ワカメ ホースラディッシュ)
↑蘇のチーズとパンチのある奈良漬が酒の肴。
蛸とマンボウの腸の程よい食感とワカメで
酢の物や口直しを感じさせる一品。
(長茄子 三つ葉 芹 生姜 山菜)
↑うん、熱い!美味い。
散りばめられた山菜類と茄子に浸った鰹出汁
が美味しく素晴らしい。
(鼈と新玉葱)
↑糖度高めの新玉葱と餡が美味しい。
〆の御食事
(太刀魚とハチビキの棒寿司)
↑おお、酢飯と白身魚のバランス感。
鮪とも異なる食感のハチビキが印象的。
(鯛と筍の山菜御飯)
↑ホクホク鯛と筍のたっぷり入った土鍋御飯。
お代わりしたいくらい美味しいが、まだ3品
残っているのでここはガマン。
(鯨のラーメン)
↑旨味魚介出汁スープに鯨肉。
日本料理店で作るラーメンは美味しい。
(平目の玉締め丼)
↑平目のカツと玉締めは美味しい。
白御飯に若干違和感を感じたのは何だろう?
(鯖の燻製冷茶漬け)
↑出汁で作った冷氷をかけて頂く一品。
もはやご飯がススムくん状態。
冷茶に負けないパワーの鯖の燻製が印象的。
水物
(紫蘇ゼリーと苺ピューレ)
↑パンチの効いた苺ピューレ。
品の良い味わいの紫蘇ゼリーで口内スッキリ
とする一品。
御菓子
(そら豆の葛餅)
↑そら豆が主張しすぎず控えすぎず絶妙。
甘さ控えめなこれまた品の良い味わい。
お抹茶
↑苦味を感じさせない上手な点て方。
ある日の仮営業時のコース料理
KBT
↑渋谷のKombucha Brewery Tokyoから
販売されている煎茶を発酵させた商品。
良い手土産品になりそうな美味なお茶。
天然舞茸の揚げおにぎり
↑もう香りからして美味いもんが出てきた
事が分かる一品。外サク、中フワは食感
と香りにテンション上がる。
白カジキと無花果の天ぷら
↑中レアな白カジキは脂のってて旨!
上からナッツと甘めの醤油がかかっていて
これがまた良い旨味。
カンパチ
↑品の良い甘さが広がるカンパチ。
塩で美味しさ引き立つ一皿。
クロシビ梭子魚
↑なんとまあ脂多めでいつまでも咀嚼して
いたくなるような梭子魚。皮から身に向かって
刀を入れた梭子魚は見た目もまた印象に残る。
銀杏のお椀
↑揚げで作った銀杏と銀杏を練り込ませた
胡麻豆腐。濃厚な胡麻豆腐は記憶に残る。
冷野菜の炊き合わせ
↑南瓜、茄子、子芋、とこの日は天然茸3種
(ヤマドリタケモドキ、オオイチョウタケ、
オオモミタケ)に白和え風の豆腐ソース。
「茸」の味わいを感じる一皿もまた印象的。
相模鮎
↑鮎を2日間おばん茶で炊き上げ蔓紫と蓼酢で
味付け。日本料理を飽きる程に食べ歩いた方で
あれば鮎の塩焼きを蓼酢で頂く一皿よりも
おばん茶のほのかな香りが炊いた鮎の香りを
引き立てるからなのか非常に新鮮味があって
逆に強烈に印象に残る一皿。これは美味い。
シジミ出汁で炊いた冬瓜 菊の花
↑シジミ出汁の旨味がたまらん一品。
キハダマグロ 赤身
黒ムツ
↑ただただ燻製感を楽しめる一貫。
ウスバハギ
梅味のとろろ汁
↑口の中をリフレッシュさせる絶妙な塩梅を
感じる一品。
太刀魚の棒寿司
佐島蛸の巻物
↑遠くでカリッとした歯応えの蛸と風味が
印象に残る巻物。
梨、茄子のコンポート
月見団子
↑中には酸味穏やかなマイヤーレモンと皮ごと
裏漉しした黒小豆。〆に繊細な味わいの菓子。
煎茶
お店の場所・予約方法
JR横須賀線・江ノ島電鉄線 鎌倉駅東口からタクシーで5分程度
鎌倉駅東口から徒歩15分程度
予約方法:電話予約又はネット予約
※個室席は4人以上で利用可
ネット予約:OMAKASE
予算(参考)
滞在時間:およそ2時間半程度
注文した料理 おまかせコース、白州ハイボール:1杯、冷酒:1杯
会計:33,200円 (2023.05現在)